更年期に入り、なぜだか不安感が止まらず辛い日々を過ごしていませんか?更年期障害の症状で、不安感や気分の落ち込みが強くなることがあります。
こちらの記事では、
・更年期障害で不安感や気分の落ち込みがおきる原因
・不安感や気分が落ち込むのを解消する3つの方法
・不安感や気分の落ち込みにおすすめの漢方薬・サプリ
・薬で治療することはできるのか?
についてご紹介しています。
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更年期障害で不安感に襲われる原因


①エストロゲン(女性ホルモン)の減少
②自律神経の乱れ
③環境の変化
があげられます。
エストロゲン(女性ホルモン)の減少
「エストロゲンと女性のヘルスケア(武谷雄二著)」によると、エストロゲンには抗不安作用があると指摘されています。
実際に、病気の治療でエストロゲン作用をおさえる薬を服用していた人が、薬を服用している間だけうつ状態になり、薬をやめるとうつ状態が改善することはよく知られています。このことから、エストロゲンには不安感をおさえてくれる効果があると考えられているのです。

更年期には、エストロゲンの分泌量が急激に低下します。抗不安作用のあるエストロゲンを分泌できなくなるため、どうしても不安感におそわれやすくなるのです。
「特に悲しい出来事があった訳ではないのに、急に不安になる」「不安感におそわれて何も手につかなくなる」ことが
自律神経の乱れ
自律神経が乱れ、副交感神経が働きすぎることで、不安感が強くなることがあります。
先ほど「エストロゲンの減少が不安感をまねく」と説明しましたが、エストロゲンの減少は、自律神経の乱れも引き起こしてしまいます。なぜなら、エストロゲンが減少すると、自律神経を調節している器官が混乱してしまうからです。
通常、エストロゲンは、脳の視床下部(ししょうかぶ)という器官からの指令によって分泌されています。しかし、更年期に入ると、エストロゲンを分泌している卵巣の機能が低下し、視床下部からの指令に応えることができません。
視床下部が「卵巣さん、エストロゲンを分泌してね」と指令を出しているのに、卵巣がエストロゲンを分泌できない、ということが続くと、視床下部は「なんで卵巣さんはエストロゲンを分泌できないのだろう?」と混乱してしまいます。
視床下部は、ホルモンだけでなく、自律神経も調節している器官です。視床下部が混乱すると、自律神経も乱れてしまうのです。


自律神経が乱れるということは、交感神経と副交感神経のバランスが悪くなり、不安定になるということです。特に更年期には、リラックスしているときに優位になる副交感神経が、活動の神経と呼ばれる交感神経よりも、強く働きすぎることがあります。
本来、副交感神経が働いている時は、リラックスしたり安心感をもたらしてくれます。しかし、副交感神経が働きすぎると、強い不安感をまねいたり、日中眠くなったり、やる気がなくなったりと、うつ状態に近い症状をおこしてしまうのです。
更年期は、否が応でも自律神経が乱れやすくなる時期です。更年期に不安感におそわれるのは、あなたのせいではなく、更年期におきる体の中の変化が理由なのです。
環境の変化
環境や状況の変化が、あなたに不安感を与えていることもあります。
更年期は、取り巻く環境や状況が変わりやすい時期でもあります。「旦那との関係、あんまりうまくいかなくてイライラする」「今後、家計は大丈夫かしら」「子どもの進路・将来が心配」「両親の介護問題そろそろちゃんと考えなきゃ」など、あなたのまわりも色んなことが変化していると思います。
「確かに色んなことはあるけど、そこまで負担にはなっていない」という方もいらっしゃるかもしれません。ですが、気づいていなかったとしても、無意識のうちに強いストレスになっていることもあるのです。
中には、愛する人と結婚して幸せいっぱいだったのに、環境が変わったことでうつ病を発症したという女性もいらっしゃいます。
良い方向に環境が変わったとしても不安やストレスに感じることがあるのですから、ネガティブな方向に環境が変わったときに、強い不安感や抑うつ感をまねくことはよく分かりますよね。
更年期障害による不安感を解消する方法


自分を責めない、思いつめない
真っ先にしていただきたいのは、自分を責めず、思いつめないことです。
更年期に不安を感じやすい女性の多くは、不安を感じたときに「なんで私はこんなことばかり考えて、頑張れないんだろう」とか、「どうしたらいいんだろう・・・」と思いつめやすいものです。
ですが、更年期に不安を感じるのはあなたのせいではありません。更年期に女性ホルモンが減って自律神経が乱れることは、女性全員におこること。身体の変化に伴っておきてしまうのですから、あなたに原因は全くありません。
気分が落ち込んでいるときにはなかなか難しいかもしれませんが、「まぁ、こういうときもあるよね」「いつかマシになるよね」と、あっけらかんとしてみてください。できるだけ考えすぎないように、少し違うことをしたり、自分が好きだと思うことをしてみてください。
大豆イソフラボンを摂取する
大豆イソフラボンはエストロゲンと似た働きをするため、大豆イソフラボンを摂取することで、不安感が改善することもあります。
「大豆イソフラボンはどんな食べ物に入ってるの?」「どれくらい摂取すればいいの?」など、大豆イソフラボンについては「大豆イソフラボンが更年期障害に与える効果とは!摂取量や副作用は?」の記事をご覧ください。
セロトニンを増やす
幸せホルモンとも呼ばれているセロトニンを増やすことで、不安感や気分の落ち込みが楽になります。
一番簡単にできるセロトニンを増やす方法は、日光を浴びること。朝目が覚めたらカーテンを開けて、約10分~15分間、窓の近くで日光を浴びてみてください。
また、「曇っている日や雨の日は、なんだか気分が落ち込みがちになる」という人はいませんか?これは、気圧の関係もありますが、日光を浴びれずセロトニンを増やしにくいことも関係があると言われています。もし、「特に曇りや雨の日に不安が強くなる」という人は、食べものから摂るようにしてください。
トリプトファンが含まれている食べ物を食べることで、セロトニンを増やすことができます。牛乳、チーズ、ヨーグルトなどの乳製品、豆腐、納豆、みそなどの大豆製品、カツオ、マグロ、アーモンド、バナナ、卵などに多く含まれています。
特に「大豆製品」には、セロトニンと似たような働きをする大豆イソフラボンが含まれているため、相乗効果が期待できます。「不安感を解消したい」というときには、是非大豆製品を積極的に摂るようにしてみてくださいね。
流行りの「セロトニンサプリ」は問題ない?
最近、気持ちを安定させるためにセロトニンサプリをのむ人が増えています。生活習慣や食生活を改善したり、自分で気持ちを落ち着けようとしても不安感が消えない場合は、服用してもいいでしょう。
しかし、うつ病を発症している場合、セロトニンを過剰に摂取すると、症状が悪化したり副作用がおきる可能性もあります。
もしも不安感が長く続いている場合、うつ病の可能性もあります。あまりに症状がひどいときには、セロトニンサプリを服用するのではなく、病院で診察を受けることをおすすめします。
不安感・気分の落ち込みにおすすめの漢方薬
漢方薬は自律神経を整える働きがあるため、体の不調だけでなく、心の不調にも効果が期待できます。「何をしても不安感が解消されない」という人には、漢方薬もおすすめです。
漢方薬 | |
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加味逍遙散(かみしょうようさん) | |
桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう) | |
女神散(にょしんさん) | |
通導散(つうどうさん) |
特に「加味逍遙散(かみしょうようさん)」は、更年期障害解消のためによく使われている三大漢方薬のうちの一つです。更年期障害でおきやすい「めまい」「肩こり」などの症状にも効果が期待できるので、不安感だけでなくその他の症状も気になっている方におすすめです。
不安感・気分の落ち込みにおすすめのサプリ
更年期の不安感は【女性ホルモンの減少】もしくは【自律神経の乱れ】からきていると説明させていただきました。女性ホルモンの減少はサプリメントでは補えませんので、自律神経の乱れを改善するサプリメントがおすすめです。
特に、ライオン株式会社の調査で「自律神経を調節する効果」が報告された田七人参入りのサプリメントを選ぶようにしてください。
不安感・気分が落ち込むときの治療(薬)
あまりに不安感がひどいときは、ホルモン補充治療(HRT)で、症状を治療していきます。
ホルモン補充治療とは、更年期に欠乏してしまう女性ホルモンをお薬や注射で補充する治療方法のことです。婦人科や更年期外来で検査を行った後に、ホルモン補充治療が必要と診断された場合、治療を受けることができます。
ホルモン補充治療の効果は、閉経前か閉経後かによって大きく変わることが指摘されています。
更年期女性9名、閉経後女性11名がホルモン治療を受けたところ、更年期女性は約1/3が症状の改善が見られたのに対し、閉経後女性は約1/10しか症状の改善が見られませんでした。(参考:女性の不安とうつ 渡邊昭佑著)

また、ホルモン補充治療は、ホットフラッシュ・ほてりなどに効果を発揮しやすいことが分かっています。「くよくよしたり、憂うつになる」という精神症状は、ホルモン補充治療を受けた人のうち、約15.5%が改善したとされています。
ですので、「不安感の改善」のためだけにホルモン補充治療を受けるのは、あまりおすすめできません。お金をかけて長期的に治療を受けけても、残念ながら、改善しない可能性の方が高いと言えるからです。
また、ホルモン補充治療は、全ての女性が受けられる訳ではありません。子宮筋腫などの病歴がある人や、卵巣を摘出している人は、治療を受けることができません。さらに、副作用が出る人も多いため、日本では普及が進んでいないのが現状です。