

カロリーや糖質の多い食事、運動不足、不規則な生活習慣などで体重が増え、太ってしまうことがあります。特に更年期には、更年期特有の原因で太りやすくなってしまいます。
「今まではそこまで太っていなかったのに、更年期に入ってから急に太ってきた!」「原因が分からないけど激太りしてしまった!」という人は、更年期特有の原因が関係している可能性があります。
この記事では、
・更年期に太りやすくなる原因
・漢方やサプリメントでメタボ(激太り)を対策・改善する方法
・食事、運動、生活習慣でメタボ(激太り)を対策・改善する方法
についてご説明しています。
また、「ホルモン治療で太りやすくなる?」などよくある質問にも回答していますので、参考にしてくださいね。
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更年期障害に太りやすくなる原因


それぞれ、詳しく説明していきますね。
エストロゲン(女性ホルモン)の低下
「エストロゲンと女性のヘルスケア(武谷雄二著)」によると、エストロゲンにはインスリンの作用を高めて糖の代謝を改善する作用と、インスリンが作られている「β細胞」という細胞の寿命を延ばす作用がある、とされています。
ご飯に含まれている「糖分」は、私たちの体の中で「ブドウ糖」に変換されます。このブドウ糖が血中に溶け込んで全身に運ばれることで、人間のエネルギー源として利用されます。
ご飯を食べて血中の血糖の量が増える(=血糖値が上がる)と、すい臓のβ細胞(ベータ細胞)という細胞が「インスリン」という物質を分泌します。
インスリンは、「肝臓・骨格筋・脂肪組織などの細胞に、血中の糖を取り込む」働きがあります。逆に言うと、インスリンが不足すると、各臓器の細胞に血糖を送り込むことができず、血中の糖の濃度が高くなる(=糖尿病)になってしまいます。
基礎代謝量・筋肉量の低下
基礎代謝とは、「心臓を動かす」「呼吸をする」など生命を維持するための活動で使われているエネルギーのことです。
私たちは、毎日ご飯を食べ続けているのに、食べたぶんだけ太るということはありませんよね?たとえ毎日運動をせずにゴロゴロしていても、体重が増え続けるということはありません。これは、生きているだけで一定量のエネルギーを使っているからなのです。
パナソニック株式会社によると、私たちが一日に消費しているエネルギーの70%は基礎代謝で、残りの30%が生活活動代謝(運動など)だとされています。
(引用:タニタヘルスリンク株式会社)
基礎代謝の中で、もっとも消費エネルギー量が多いのは「筋肉」です。しかし、女性は男性に比べて筋肉量が少ないだけでなく、加齢によって筋肉量は低下してしまいます。筋肉量が低下すると、基礎代謝も減少するため、痩せにくくなります。
(引用:パナソニック株式会社)
上記の表を見ていただいても分かるように、加齢と共に基礎代謝量はどんどん減ってしまいます。
更年期特有のストレス
更年期には、夫とのトラブル、両親の介護、子どもの進路や自立に関すること、仕事など、「すぐには解決しにくい悩み」を抱えがちになります。そういった悩みがストレスとなり、過食や暴食につながってしまう可能性があります。
メタボリックシンドローム(激太り)対策:食事


①漢方やサプリを活用する
②食事内容を改善する
③運動をする
④生活習慣を改善する
ことで対策をすることができます。
食事に気を付ける(食事管理)
(引用:厚生労働省)
メタボ対策のためには、カロリーの多い食事を控えるようにしましょう。厚生労働省が発表している「推定エネルギー必要量」を見ると、30~49歳女性は1日に1,750kcal~2,050kcal。50歳~69歳女性は1日に1,650kcal~1,900kcalの摂取が必要であるとされています。
※表に「Ⅰ」「Ⅱ」と書かれてあるのは「身体活動レベル」のことです。
「Ⅰ」…生活の大部分を座って過ごしていて、静的な活動が中心。
「Ⅱ」…座位中心の仕事をしているが、職場内での移動や立位での作業・接客等、あるいは通勤・買物・家事、軽いスポーツ等のいずれかを含む場合
「Ⅲ」…移動や立位の多い仕事への従事者。あるいは、スポーツなど余暇における活発な運動習慣をもっている場合
あくまで「推定」ですが、上記よりも摂取カロリーが増えてしまわないようにしましょう。特に基礎代謝量や生活代謝が低い人の場合、上記の摂取カロリーでも太ってしまうことがあります。
漢方薬やサプリメントを活用する
市販されている漢方薬やサプリメントの中には、「脂肪の燃焼を助ける」ものや、「摂取した糖の吸収をおだやかにする」ものがあります。商品の中には特定保健用食品(トクホ)に指定されている(=効果が実証されている)ものも増えているので、積極的に活用することで、更年期太り対策をすることができます。
更年期太りに特におすすめなのが、葛の花由来イソフラボンが配合されているサプリメントです。葛の花由来のイソフラボンは、体重、お腹の脂肪(内臓脂肪・皮下脂肪)、ウエスト周囲径を減らすことが研究により証明されています。
研究では「運動をしなくても効果が実感できる」「他のサプリや薬との併用にも問題がない」とのことで、更年期太りを気にする方たちに高い人気を集めています。
メタボリックシンドローム(激太り)対策:運動
有酸素運動をする
有酸素運動は、脂肪を燃焼してメタボを予防・解消することができます。
なぜ有酸素運動をすると脂肪が燃焼するか?について、パナソニック株式会社の「クラブパナソニック」にて説明がありましたので、こちらを引用(一部改変)し説明します。
脂肪を燃やすメカニズム
有酸素運動をすることで、活動エネルギーが必要な状態になる
↓
脳が、「体の脂肪を分解して、エネルギーを作って!」と体に命令を出す
↓
ノルアドレナリンやアドレナリンなどの「脂肪動員ホルモン(アデポキネチックホルモン)」が分泌される
↓
脂肪を分解する酵素である「リパーゼ」が活性化する
↓
脂肪が分解され、グリセロールと遊離脂肪酸という物質になり血液中に放出される
↓
脂肪酸が全身の筋肉によってエネルギーとして燃焼される※しかし、脂肪が遊離脂肪酸に分解されても、エネルギーとして燃焼できなければ再び脂肪へと戻ってしまう。分解した遊離脂肪酸をエネルギーとして燃焼するためには、一定時間以上の運動が必要になる。
上記の内容を簡単に説明すると、「有酸素運動をするとエネルギーが必要になるため、体に蓄えている脂肪からエネルギーを作りだそうと体が準備を始める。ある程度の時間(だいたい20分~40分だと言われています)有酸素運動を続けることによって、脂肪を分解する酵素が活性化、脂肪を分解&燃焼する」ということです。
無酸素運動(筋トレ)をする
無酸素運動は体の筋肉量を増やすことで基礎代謝を上げ、痩せやすい体を作り上げることができます。
初めにも説明しましたが、人間の代謝(エネルギー消費)には、「基礎代謝(心臓を動かす、呼吸をするために使うエネルギー)」と、「生活代謝(歩いたり動いたりするために使うエネルギー)」があります。そのうち、基礎代謝は代謝全体の6~7割を占めています。
「毎日全力で有酸素運動をしても、思ったように痩せない」という場合は、基礎代謝量が低下していて、痩せにくい体になってしまっているからかもしれません。
メタボリックシンドローム(激太り)対策:生活習慣
自分の適性体重を把握しておく
「具体的にどれくらい痩せる必要があるか?」を知るために、まず、自分の適性体重を把握しましょう。適性体重はBMI(=ボディマスインデックス)で計算することができます。
自分で計算するのが面倒な場合は、BMIと適性体重を入力するだけで計算できるサイトを使って計算してみてください。
日本肥満学会では、BMI指数22を「標準体重」、指数25以上の場合を「肥満」、18.5未満を「低体重」としています。あなたの数値はどれくらいで、判定はどのようなものだったでしょうか?
指標 | |
---|---|
18.5未満 | |
18.5~25未満 | |
25~30未満 | |
30~35未満 | |
35~40未満 | |
40以上 |
(参考:日本肥満学会の判定基準(成人))
BMIの数値が25を超える場合は「肥満気味」であり、健康に害を及ぼす可能性があります。大病にかかって苦しい思いをしないためにも、積極的に運動をし、食生活を見直すようにしてください。
禁煙をする
厚生労働省が運営しているe-ヘルスネットによると、たばこを吸うと交感神経を刺激して血糖が上昇するだけでなく、体内のインスリンの働きをさまたげる作用があるとのことです。
(引用:e-ヘルスネット)
日本や諸外国が行った研究において、喫煙者は、非喫煙者に比べて糖尿病を発症しやすいことが分かっています。
更年期障害でホルモン治療をすると太りやすくなる?


日本女性医学学会理事長の水沼秀樹先生も、この事実を否定しています。
以前から「更年期障害でホルモン治療を受けると太りやすくなる」と言われることが多くあります。しかし、これには根拠がありません。おそらく、「男性ホルモンと女性ホルモンが混ざった注射を打つ」と太りやすくなるため、「女性ホルモンのみの注射」と混同して話がされているのではないか、と考えられています。