

食生活などの生活習慣、合わない化粧品の使用などで肌荒れが起きることが多くありますが、更年期には更年期特有の理由で肌荒れを起こすことがあります。
更年期に入り「今まで使っていた化粧品が合わなくなった」「お肌の乾燥がひどくなった」「皮膚がかゆい」などの症状がひどくなった場合、更年期障害による肌荒れの可能性も多いにあり得ます。
この記事では、
・更年期障害でお肌が荒れてしまう原因
・肌荒れを改善する方法(漢方・生活習慣の改善)
・肌荒れしていても使えるおすすめのスキンケア
についてご説明しています。
また、「肌荒れと同時にニキビがでる原因」「病院の何科に受診すればいいの?」などのよくある質問についても回答しています。
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更年期障害による肌荒れの原因


エストロゲン(女性ホルモン)の減少
「エストロゲンと女性のヘルスケア(武谷雄二著)」によると、エストロゲン(女性ホルモン)には、抗老化作用があるとみなすことができる、とされています。
エストロゲンには、以下のような作用があります。
・皮膚の厚さや弾力性を保つ(シワがなくモチモチしたお肌を保つ)
・皮膚の水分保持に必要であるヒアルロン酸を保持する(お肌の乾燥を防ぐ)
更年期に入ると、それまで卵巣で作られていたエストロゲン(女性ホルモン)の分泌量は急激に低下します。
お肌の弾力や水分を保つエストロゲンが減少することで、「乾燥」や「お肌のザラつき」などの肌荒れ症状が出やすくなってしまうのです。
セラミドの減少
肌荒れの中でも、「乾燥がひどい」「肌がかゆい」「潤いがなくザラザラする」などの症状がでている場合、セラミド不足である可能性があります。

私たち人間の皮膚表面には、生まれつき「セラミド」という成分が含まれています。セラミドには、水分を抱え込んでお肌を保湿する働きと、紫外線やアレルゲンなどの外部刺激からお肌を守るバリア機能をもっています。
(引用:アルージェ公式サイト)
しかし、セラミドは加齢と共にどんどん減少し、50代になると20代に比べてセラミドの量は半分にまで減ってしまいます。

お肌のバリア機能をもっているセラミドが減少すると、紫外線・カビ・ダニ・化学物質などの刺激をはね返すことが難しくなり、刺激によるダメージをどんどん受けてしまうのです。
セラミドが不足しお肌が刺激に弱くなってしまうため、「肌の乾燥」「かゆみ」「ザラつき」が起きやすくなります。
更年期障害による肌荒れでニキビもできる原因



「女性にも男性ホルモンがあるの?」と疑問に思われた方もいらっしゃると思いますが、女性の体の中でもテストステロンやアンドロゲンという男性ホルモンが分泌されています。
体から作られている皮脂の半分は、このアンドロゲンという男性ホルモンが作っています。アンドロゲンが過剰に分泌されると肌の角質が増えすぎ、毛穴に皮脂がたまりやすくなるため、ニキビができる原因となるのです。
通常、女性ホルモンと男性ホルモンがバランスよく分泌されることで、女性が男性ホルモンの影響を大きく受けることはないとされています。しかし、更年期に入ると女性ホルモンが急激に減少するため、男性ホルモンの影響を受けやすくなってしまうのです。
更年期障害による肌荒れは何科で診てもらうべき?


肌荒れ、乾燥、かゆみ、アトピー、などの症状がひどい場合は、まず皮膚科の受診をおすすめします。ホットフラッシュ(急に大量の汗が出る)、疲れやすい、頭痛やめまいなどの更年期特有の症状もでている場合は、婦人科で診てもらうのがいいでしょう。
しかし、特に慢性的な湿疹などの場合、「この方法なら全ての人の症状が改善する!」という決定的な解決方法がない場合もあります。
皮膚科で処方してもらったステロイド剤で改善した人もいれば、何ヵ月ステロイド剤を使っても治らない人、処方薬は効かなかったが漢方薬を飲んだらマシになった人、ホルモン治療でようやくマシになった人、食事内容を徹底的に変えたら改善した人・・・など、人によって合う対処法が異なるというのが事実です。
更年期で肌荒れしている女性におすすめの化粧品


しかし、あえて言うのであれば「お肌にとにかく優しいもの」、そして「更年期に不足しがちなセラミド配合のもの」がおすすめです。
「肌荒れの原因」でも説明しましたが、お肌のバリア機能をしてくれているセラミドは加齢と共に減少するため、お肌はどんどん敏感になってしまいます。今以上にお肌を敏感にさせないためにも、セラミド配合の化粧品をおすすめします。
セラミドには「ヒト型セラミド」「天然セラミド」「人口セラミド」「植物セラミド」の4種類あるのですが、「ヒト型セラミド」もしくは「天然セラミド」が入っている化粧水・美容液を選ぶようにしてください。
なぜなら、その他のセラミドよりもより高い保湿力が期待できるからです。
反対に、人口セラミドはその名の通り「人工的に作られたセラミド」のことで、お肌に良いと考えられない添加物が多く使われていることもあります。また「植物セラミド」は植物から作られたセラミドですが、お肌の構造にピッタリ合わないため、あまり保湿効果やバリア機能の向上が期待できません。
更年期障害による肌荒れの改善方法:漢方薬・サプリ

更年期に悩む主婦・山田さん 肌荒れの改善方法には、どのようなものがあるのでしょうか。

くみちゃん先生 肌荒れの改善方法は、①漢方薬を服用する、②生活習慣やお肌のケアを変える方法があります。
漢方薬を服用する


肌荒れに効果のある漢方薬を服用することで、圧倒的に肌荒れが改善することがあります。肌荒れやニキビに効果的な漢方薬は以下の通りです。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん) | |
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桂枝茯苓丸加薏苡仁(けいしぶくりょうがんよくいにん) | |
温経湯(うんけいとう) | |
清上防風湯(せいじょうぼうふうとう) |
この中でも特におすすめしたいのが、薏苡仁(ヨクイニン)です。テレビCMなど名前を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
ヨクイニンとは、イネ科の一年草である「ハトムギ」を脱穀し、種と皮を取り除いたものです。ハトムギは主に食品や化粧品に使われ、ヨクイニンは生薬として使用されていて用途は異なりますが、基本的には同じ作用を持っています。(参考:健康雑誌「安心」2012年2月号」)
ヨクイニンな主な働きとして、「新陳代謝促進」や「抗腫瘍作用(体の表面にできたイボをとりのぞく)」があることが分かっています。
ヨクイニンを摂ることで体の代謝が良くなり、皮膚を新しく生み出す力が高まります。そうなることで、荒れているお肌やニキビの改善効果が期待できるのです。
その他の漢方薬について知りたい方は、「更年期障害の症状を改善する漢方薬まとめ!メリット・副作用など」をご覧ください。
一切の化粧・スキンケアをやめる
化粧や、化粧水・美容液などのスキンケアをしていて肌荒れが治らないという人は、化粧やスキンケアが原因で肌荒れを起こしている可能性があります。もしも他に肌荒れの原因だと考えられるものがない場合は、一度化粧やスキンケアを中断することをおすすめします。
加齢に伴いセラミドが減少すると、バリア機能が低下してしまいます。そうなると、今まで使っていた化粧品や化粧水にも敏感に反応してしまう可能性があります。
また、「敏感肌用のスキンケアに変えても肌荒れが治らない」という人は、バリア機能の低下が顕著にあらわれている、と言うことができます。これからスキンケア商品を変えても、またお肌を刺激し、肌荒れを引き起こしてしまうかもしれません。
ノンケミカル化粧品や肌断食については、ノンノンさんという方が運営しておられるブログ「モリモリ!美容ブログ ~お肌と財布と、地球にやさしく ~」がとても参考になります。(@コスメではプププクリンさんという名前で登録されています。@コスメ界隈でとても有名な方です。)
紫外線対策をする
バリア機能が低下しているお肌に紫外線を浴びると、お肌の内部に紫外線が侵入しやすくなり、乾燥や炎症が起きやすくなってしまいます。
特に、エストロゲンを十分に分泌している女性に比べ、エストロゲンが減少している女性が紫外線が受けることで、より悪影響を受けることも分かっています。(参考:「エストロゲンと女性のヘルスケア(武谷雄二著)」)
さらに、紫外線をたくさん浴びると、紫外線アレルギー(日光過敏症、日光皮膚炎とも呼ばれています)を急に発症してしまうことがあります。もしも「何をしても完治しない水膨れのようなブツブツ」がある場合は、紫外線アレルギーによる炎症の可能性もあります。
肌荒れを増やしてしまわないためにも、日焼け止めを塗る・日傘を差すなどして、紫外線対策はしっかり行うようにしてくださいね。
イソフラボンをとる
エストロゲンが不足していることによって肌荒れが起きている場合、イソフラボンを摂取することで肌荒れが改善する場合があります。なぜなら、イソフラボンはエストロゲンと似たような働きをしてくれるからです。
ビタミンAを摂取する
ビタミンの中でもビタミンAには、肌の機能を正常保って肌荒れを防ぐ効果があります。
「ホントはコワイ更年期障害 35の対策」によると、更年期女性の理想のビタミンA摂取量は700マイクログラムとのこと。
ビタミンAを多く含む食べ物は以下の通りです(食品100gあたりのビタミンA含有量)。
鶏肉(レバー) | |
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豚肉(レバー) | |
牛肉(レバー) | |
あなご | |
しそ | |
モロヘイヤ | |
にんじん | |
たまご(卵黄) | |
ほうれん草(ゆで) |
(引用:簡単!栄養andカロリー計算)
しかし、摂り過ぎると頭痛や吐き気などを引き起こすことがあるので注意してくださいね。
ビタミンEをとる
ビタミンEは、お肌の新陳代謝を高める働きや、末梢神経を広げ血行を改善したり、強い抗酸化作用があるため活性酵素から身を守ってくれます。
ビタミンEが多く含まれている食品は以下の通りです。
あんこうのきも | |
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すじこ | |
いくら | |
アーモンド |
1日の理想の摂取量は8mgだとされています。過剰摂取は体に悪影響を与えるという説もあるため、適量摂取するようにしてくださいね。