「更年期に入ってから手足が冷える」「温かい季節なのに冷えを感じる」という人は、更年期障害が原因で冷えやすくなっているのかもしれません。
この記事では、
・更年期障害で冷えを感じやすくなる原因
・冷えを改善する方法
・冷えを取るおすすめの漢方薬
についてご紹介しています。
スポンサーリンク更年期障害で冷えが気になる原因


①自律神経の乱れ
②加齢による筋肉量の低下
にあります。それぞれ詳しく説明していきますね。
自律神経の乱れ
自律神経の乱れが、冷えを引き起こす大きな原因の一つです。
更年期になるとエストロゲン(女性ホルモン)の分泌量が低下します。エストロゲンが減少すると自律神経が乱れがちになります。自律神経は、私たち人間の体温を調節する働きがあります。自律神経が乱れると、同時に体温調節機能もうまくいかなくなるのです。
(引用:第一三共ヘルスケア株式会社)
例えば、気温が低く「ちょっと寒いな」と感じる場所にいると皮膚が温度を感じて、脳に「ちょっと寒いですよ!」と伝えます。すると脳は「ちょっと寒いので血管を縮めて、体の外に熱が出るのを防いでください」と体に指令を出します。暑いときも同じです。
しかし、自律神経が乱れていると、体温を保つためのコントロールが効かなくなってしまいます。こうなることで、夏でも手足が冷たかったり、常に冷えを感じたり、便秘や下痢の原因になってしまいます。
加齢による筋肉量の低下
そもそも女性は体の筋肉量が少なく、熱を作りにくいため、男性よりも冷えを感じやすいのです。それに加えて、加齢と共に筋肉量は自然に落ちていくので、さらに冷えやすくなります。
特に、「足元が冷える」と感じることが多いのは、足元はどうしても血流が悪くなりやすいから。
私たちの体にはたくさんの血管が張りめぐらされていて、その中を血が通っています。心臓の鼓動によって血液はスムースに流れていますが、足元には重力が強くかかっているので、どうしても血が滞りやすいのです。
ふくらはぎの筋肉には筋ポンプ作用があります。筋ポンプ作用とは、筋肉がポンプとなって血流を体の上に送り込む働きのこと。この作用があることで足元の血液が心臓に向かって送り返されるのですが、筋肉量が少ないと、ポンプの力も低下してしまいます。
加齢によって温度変化を感じにくくなっている
私たちは年齢を重ねるごとに、温度変化を感じにくくなり、「冷え」をためやすいことが分かっています。
クーラーをガンガンに効かせた部屋に、小学生・20代・40代・70代の4人の女性に入ってもらったとき、「部屋が寒い!」と行って出てきたのは小学生が一番早く、40歳・70歳の女性が最後に出てきたという実験結果があります。
「老年期の感覚機能の低下(北川公路教授)」という論文においても、「廊下により温度受容の機能の低下が見られ、感度が鈍くなることが分かっている」とされています。
自分では「そんなに寒くない」と感じていても、実際は体を寒い環境へとさらしている可能性があります。
冷たいものを食べる・飲む
更年期障害で悩んでいる人が多い症状に「ホットフラッシュ(急に大量の汗をかく)」があります。あなたも急にほてりを感じてドッと汗をかいたことはないでしょうか?ホットフラッシュがでたときに、ほてりや汗を抑えようとして、冷たい飲み物を飲む人が多くいます。
暑いときやほてりを感じたときに冷たいものを飲むと気持ちいいのですが、体の中から冷える原因になります。
冷たい飲み物だけでなく、生野菜やアイスクリームなどの食べ物でも体の中から冷えてしまいます。
更年期障害による冷えを改善する方法
毎日入浴する
「冷えが気になる」という女性の中には、「お風呂が好きではなく入浴してもすぐに出てしまう」「シャワーだけで済ませている日が多い」という人が多くいらっしゃいます。毎日入浴して体を温めることは、最も簡単にできる冷え取りの一つです。是非、試してみてください。
お風呂の温度は38℃~40℃くらいのぬるま湯で、約15分~20分間つかりましょう。
また、全身浴だと上半身ばかり温まりがち。女性は特に足元が冷えやすいので、半身浴をして下半身を温めるようにしてください。
「お風呂に入ってもっとぽかぽか温まりたい」という方は、入浴剤も活用してみてください。保温効果が上がるものだけでなく、香りが付いているもの、発汗効果を高めるものなどさまざまな種類があります。お好きなものを選んで、楽しいバスタイムを送ってくださいね。
頑固な冷え性に悩んでいる方には塩湯(塩風呂)もおすすめ。浴槽に20g~30gほどの塩を入れてから入浴してください。皮膚に怪我や傷がある人は、症状を悪化させる可能性があるので、しないようにしてくださいね。
運動・筋トレをする
軽い運動をすることで血流がよくなり、体をぽかぽかと温めることができます。
特に足元が冷えやすい人は、足元の筋肉を鍛えることをおすすめします。「筋肉を鍛える」というと大層なことをしなきゃならないように聞こえますが、全くそんなことはありません。つま先立ちで背伸びをするというのを、時間があるときに試してみてください。
たったこれだけでも、足先や下半身にとどこおっていた血液がスムースに流れ出し、ぽかぽかと温かくなってくるはずです。
体を冷やす食べ物を控える
「体を冷やす」とされている食べ物は、取り過ぎないようにしましょう。
野菜 | |
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果物 | |
豆・穀類 | |
肉類 | |
魚介類 | |
海藻類 | |
調味料 | |
飲み物 |
(引用:よくわかる最新医学 新版冷え性・貧血・低血圧)
特に女性が気を付けたいのが間食です。どうしてもケーキやアイスなどを好んで食べる人が多いのではないかと思うのですが、洋菓子には白砂糖がこれでもかというくらいたくさん使われています。白砂糖は、体を冷やしてしまうので、食べる量や回数には十分にきをつけてください。
「やっぱり甘いものはやめられない!」というあなたには、さつまいも・くり・かぼちゃがおすすめです。これらは血行を促進し体を温める効果が期待できます。甘くおいしいのでスイーツにも適しています。
更年期障害による冷えにおすすめの漢方薬
これらが、更年期の冷え改善に効果のある漢方薬です。
漢方薬 | |
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当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん) | |
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん) | |
温経湯(うんけいとう) | |
当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう) |
漢方薬は、同じ冷えの症状であっても、その人の体質や他にでている症状などによって、合う種類が変わります。ですので、「自分にはこれが合っているかな」と判断するのではなく、お医者さんや漢方専門医などに相談してから、服用することをおすすめします。