大豆イソフラボンとは


大豆イソフラボンとは、豆腐や納豆などに含まれている成分のことです。
(引用:キッコーマンニュートリケア・ジャパン株式会社)
上記の図を見ていただいても分かるように、大豆イソフラボンとエストロゲン(女性ホルモン)の構造はとてもよく似ていて、大豆イソフラボンはエストロゲンと似た働きをすることも分かっています。
更年期症状に対する大豆イソフラボンの効果
ほてり・ホットフラッシュの改善
大豆イソフラボンを摂取することで、更年期に起こりやすい症状であるホットフラッシュ・ほてりが改善されたというデータが複数発表されています。
引用資料・文献 | |
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Biofactors22-1-4,(2004) | |
MS:Maturitas,21(1995) | |
CA:Menopause,7(2000) | |
P:Menopause,9(2002) |
(参考:「食品機能性の化学(食品機能性の化学編集委員会著)」)
理想の大豆イソフラボン摂取量


食品安全委員会によると安全に摂取できるアグリコン型大豆イソフラボンの量を、70mg~75mgと定めています。
この数値は、食品安全委員会(国)が長年にわたって大豆食品を食べている日本人の栄養状態を見て「上限値」として定めたものです。この数値通りに大豆イソフラボンを摂取すれば、必ず更年期症状が改善するという訳ではありません。
ちなみに、厚生労働省の発表では、日本人(15歳以上)の平均的なアグリコン型大豆イソフラボン摂取量は、一日あたり16~22mgであると報告されています。
大豆製品に含まれているイソフラボンの量

※含有量の数値に差があるのは、商品によって大豆イソフラボンの含有量が異なっているためです。
食品名 | ||
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大豆 | ||
煮大豆 | ||
揚げ大豆 | ||
きなこ | ||
豆腐 | ||
おから | ||
油揚げ | ||
納豆 | ||
味噌 | ||
醤油 | ||
豆乳 |
(すべてアグリコン型大豆イソフラボン、100gあたりの含有量)
(引用:食品安全委員会)
大豆イソフラボンの効果

美肌
大豆イソフラボンには、お肌の弾力・小じわの改善効果があることが報告されています。
年齢肌に悩む30代後半~40代前半の女性26名が、大豆イソフラボンを1日40mg (アグリコンとして)12週間摂取したところ、摂取8週間後では頬の肌の弾力が、次いで12週間後では小じわの改善が見られました。この結果より、大豆イソフラボンは年齢肌に悩む40歳前後の女性の肌の改善に役立つことが確認されました。
(引用:Oral intake of soy isoflavone aglycone improves the aged skin of adult women.)
コレステロール値の上昇を抑える
大豆イソフラボンは、コレステロール値の上昇を抑える効果があると報告されています。
高血圧、高コレステロール血症のスコットランド人61名(年齢45歳~59歳) が、大豆タンパク質20g 以上及び大豆イソフラボン80mg を配合した食事を5週間したところ、収縮期及び拡張期血圧及び総コレステロール、HDL以外のコレステロール(LDLコレステロールなど悪玉コレステロール)が減少しました。摂取24時間後には尿中イソフラボン量が増加したことから、これらの健康機能にはイソフラボンが関係していると考えられています。従って、大豆イソフラボン及び大豆タンパク質は、生活習慣病並びに心血管疾患の予防効果が期待されます。(引用:Effects of dietary intake of soy protein and isoflavones on cardiovascular disease risk factors in high risk, middle-aged men in Scotland.)
骨粗しょう症の予防
大豆イソフラボンは、骨を強くし、骨粗しょう症を予防できることが分かっています。
閉経後女性203名が、大豆イソフラボンを1日80mg とカルシウムを1日500mg を1年間摂取したところ、股関節などの骨ミネラル量の減少が緩和されたことから、大豆イソフラボンに骨粗しょう症予防効果が示唆されました。閉経後4年以上経過した、やせ型の女性、及びカルシウム摂取量が少ない方で、大豆イソフラボンの骨粗しょう症予防効果に有益であると考えられています。
(引用:Effects of isoflavone supplements on bone metabolic markers and climacteric symptoms in Japanese women.)
大豆イソフラボンを過剰摂取すると副作用がでる?


閉経前の日本人女性21人が、通常の食生活に加えて、豆乳約400ml(イソフラボン量57.3mg)を2か月間摂取したところ、エストラジオール約30%低下し、月経周期が長くなったことが報告されています。(参考:食品機能性の化学)
エストラジオールとは、エストロゲンの一種のこと。エストラジオールが不足すると不妊や更年期障害の原因になります。
大豆イソフラボンの種類


グリコシド型とアグリコン型
まず、大豆イソフラボンには、グリコシド型とアグリコン型とが存在します。
(引用:ニチモウバイオティックス株式会社)
そもそも大豆イソフラボンは、糖と糖が結びついた構造をしています。この糖が結びついているものを「グリコシド型」と呼びます。糖が外れたものは「アグリコン型」と呼ばれています。
吸収できる割合 | 吸収のピーク | |
---|---|---|
グリコシド型 | ||
アグリコン型 |
私たちが大豆イソフラボンを摂取しても、そのまま体内に吸収できる訳ではありません。腸内にある「エクオール」という細菌によって糖が外され、アグリコン型になってから吸収されます。
グリシテイン、ダイゼイン、ゲニステイン



また、イソフラボンの種類にそこまで興味がないよ!という方は、飛ばしていただいてもかまいません。

大豆イソフラボンから糖を取ったものが「アグリコン型」で、アグリコン型の中にも「グリシテイン」「ダイゼイン」「ゲニステイン」に分かれます。グリシテイン、ダイゼイン、ゲニステインは、大豆のどの部分から取れたものかで、含まれる量が異なります。

エクオール

最近、テレビ番組などでも「更年期障害にはエクオールがいい!」と聞き、名前を知っている方が多いかと思います。
エクオールとは、大豆イソフラボン>アグリコン型(糖がとれたもの)>ダイゼイン(大豆胚芽に多く含まれているもの)を摂取したときに、エクオール生産菌という腸内細菌が変換してようやく作ることができます。
エクオールは「スーパーイソフラボン」とも呼ばれ、通常の大豆イソフラボンを摂取するよりも、より高い効果があると分かっています。
しかし、ダイゼインをエクオールに変換するために必要な「エクオール生産菌」は、全ての人が持っている訳ではありません。
日本免疫学会学術大会の発表によると、日本人は約50%、欧米人は20%~30%しかエクオール生産菌を持っていないそうです。また、欧米諸国に比べると、日本、韓国、台湾など、大豆製品を多く食べる国の方が、エクオール生産菌を持っている人が多いことも分かっています。