本来、皮膚のかゆみのほとんどは乾燥が原因です。お肌の表面の「角質層」には外部刺激からお肌を守る働きがあります。しかし、お肌が乾燥するとバリア機能が低下し、刺激に弱くなるため、少しの刺激でもかゆくなってしまうのです。
更年期には更年期特有の理由で、お肌が乾燥しやすくなり、かゆみがひどくなることがあります。
この記事では、
・更年期に皮膚がかゆくなる原因
・皮膚のかゆみを解消する8つの方法
についてご紹介しています。
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更年期に皮膚がかゆくなる原因


①エストロゲン(女性ホルモン)の減少
②セラミドの減少
③ヒアルロン酸の減少
があげられます。それぞれ、詳しく説明していきますね。
エストロゲン(女性ホルモン)の減少
エストロゲンは、お肌の保湿力を高めるヒアルロン酸を保持する働きがあります。つまり、エストロゲンを分泌しているだけで、お肌の潤いが高まっているのです。
しかし、更年期に入ると卵巣機能が低下してしまうため、エストロゲンの分泌量は急激に低下してしまいます。エストロゲンが分泌できなくなることで、キープできるヒアルロン酸の量も減るため、更年期に入ると一気にお肌が乾燥しやすくなるのです。
セラミド不足
セラミドとは、たっぷりの水分を抱き込んでお肌に潤いを与えたり、外部刺激からお肌を守るバリア機能をしている成分のことです。
私たちのお肌には生まれつきセラミドが存在しているのですが、加齢と共にセラミドの量はどんどん減少してしまいます。全薬工業株式会社によると、50代のセラミド量は、20代に比べると半分まで減少するとのこと。
セラミドが減るとお肌が乾燥しやすくなり、かゆみもおこしやすくなります。また、バリア機能も低下してしまうので、紫外線・ホコリ・乾燥している場所など外部からの刺激を受けやすくなり、かゆく感じることが増えてしまうのです。
ヒアルロン酸不足
ヒアルロン酸とは、皮膚の細胞と細胞の間に存在している成分のこと。ヒアルロン酸1gにつき約6ℓもの水分を抱え込むことができるため、お肌の潤いを保つには欠かせない成分です。
セラミドと同じように、ヒアルロン酸も加齢と共に減少してしまいます。潤いを保ってくれているヒアルロン酸が減少するにつれ、お肌はカサカサと乾燥しやすくなり、かゆみも感じやすくなります。

更年期の皮膚のかゆみを解消する方法


冷やす
かゆみを感じる部分を冷やすことで、一時的ですが、かゆみがやわらぎます。ぬれタオルや保冷剤などで冷やしてみてください。
逆に、体が温まるとかゆみがひどくなります。症状がひどいときには、体を温めすぎないようにしてください。
保湿をする
乾燥がかゆみの原因になっていますので、スキンケアをしっかりして、お肌を保湿してあげましょう。
スキンケア商品を選ぶときは、セラミド配合のものがおすすめです。加齢によって不足しがちなセラミドを補ってあげることで、お肌のバリア機能を高め、かゆみを予防することができます。


ヒアルロン酸入り化粧水がたくさん発売されていますが、実際にお肌の奥までは届かず、お肌の表面をふやかしているだけとも指摘されています。かゆみを予防する目的でスキンケア商品を選ぶときには、セラミドが入っているかどうかを確認することをおすすめしています。
ただ、注意していただきたいのは、過剰な保湿は逆効果ということです。皮膚に水分を与えすぎるとふやけた状態になり、さらに乾燥しやすくなることが分かっています。
乾燥しがちな人は、洗顔後だけでなく、一日に何回も化粧水や美容液を塗ってしまいがち。ですが、それではさらに乾燥を悪化させてしまいます。保湿ケアは朝・夜の洗顔後だけ、きっちりおこなうようにしてくださいね。
洗顔しすぎない
洗顔のしすぎはお肌のバリア機能を壊し、激しいかゆみの原因になることがあります。
特に、脂性肌の人やニキビがある人は一日に何度も洗顔をしがちなのですが、一日の洗顔は「朝」と「夜」だけにしましょう。
こすらない
お肌を手で直接触れば触るほど、お肌には負担がかかっています。
化粧水・美容液をつけるときに手でこするようにしたり、顔をマッサージしたり、化粧水をふくませたコットンではたくようにするだけでも、お肌には負担がかかっています。洗顔をしたあと、タオルでゴシゴシ拭いていませんか?これもお肌には相当負担をかけているんですよ。
頬のあたりが赤っぽくなっている人は、過剰に刺激を与えている証拠です。
洗顔は、洗顔料をふんわり泡を立て、お肌になじませるように優しく洗ってください。洗顔後に顔を拭くときも、タオルでポンポンと水分を吸収するようにしましょう。化粧水や美容液は、手でもコットンでも、優しくなじませるように付けるのがポイントです。
「手で顔をさわらない」「手やタオルで顔をこすらない」を意識して、生活するようにしてくださいね。
入浴方法を変える
体のかゆみが気になっている人で、「熱いお風呂が好きで、毎日入っている」という人は、お風呂が原因でかゆくなっている可能性があります。
お風呂は、38℃~40℃以下のぬるめのお湯がおすすめです。
なぜなら、それ以上熱いお湯に浸かると、お肌の保湿成分である「セラミド」が流れ出て、皮膚を乾燥させやすくなるからです。乾燥するということは、よりかゆみが強くなってしまうということ。熱いお風呂はとても気持ちがいいのですが、お肌にとっては悪影響になっているのです。
また、「お風呂に入ると保湿できる」と思われがちですが、これは間違い。入浴直後までは皮膚が潤った状態ですが、お風呂を出てから約15分後には、入浴前よりも乾燥した状態になっています。
ですので、お風呂から出たら、できるだけ早く保湿ケアをするようにしましょう。お肌に優しいボディクリームなどをつけることで、体の乾燥を防ぐことができますよ。
紫外線対策をする
紫外線はお肌を乾燥させ、かゆみを引き起こす原因になります。
紫外線には、UV-A(長波長紫外線)と、UV-B(中波長紫外線)があります。UV-Aは、皮膚の奥まで入り込みダメージを与えます。そのダメージはどんどん蓄積されるため、歳を重ねるごとに乾燥しがちになったり、お肌にシワやたるみなどを作ってしまうのです。
既にご存知の方も多いと思いますが、家の中にいても、曇りの日でも、紫外線を浴びてしまいます。家の中や曇りの日だからと言って気を抜くと、あっという間に紫外線によるダメージが蓄積されてしまいます。
「今まであんまり紫外線対策をしてこなかった」という方も、今から始めましょう。今から始めるのと、始めないのでは、数年後の結果は大違いです。かゆみだけでなく、今後できてしまうシミ・シワ・たるみも予防することができますよ。ぜひ、始めてみてください。

しっかり睡眠をとる
「寝不足だからお肌がかゆくなるなんて、ちょっと信じられない!」という声もあるのですが、実は、睡眠不足はお肌に大きなダメージを与えます。
私たちの体というのはとても賢いもので、寝ている間に「成長ホルモン」を分泌し、働いて疲れた(ダメージを受けた)体や臓器などを修復・回復しています。これは皮膚も同じこと。寝ている間にダメージを受けた皮膚が、回復していくのです。
しかし睡眠不足だったり睡眠の質が悪いと、成長ホルモンの分泌量が減少し、皮膚が回復しなくなります。皮膚が回復しなくなるということは、紫外線やこすったりしたダメージが治らず、乾燥などのトラブルをおこしやすいということ。
更年期は、加齢やホルモンバランスの乱れで、睡眠トラブルがおきやすいことが分かっています。もしあなたが睡眠に関する悩みを抱えているのであれば、睡眠の質を改善することで、皮膚のかゆみが改善するかもしれません。
「不眠を改善したい!」「ぐっすり眠れない!」というお悩みについては、「更年期障害による不眠・眠れない原因と解消法とは【薬・生活習慣】」をご覧ください。
衣類を変える
「締め付けやすい衣服」と「こすれやすい衣服」はかゆみの原因になります。キツすぎる下着や靴下などを履いてはいませんか?また、首や背中がチクチク感じるような服を着てはいませんか?
特に首は皮膚が薄いため、かゆみを感じやすい部位です。モヘアやラメなどチクチクする素材の服でつねに刺激を受けていると、かゆみがひどくなり、炎症を引き起こすこともあります。体にかゆみが出ているときは、アンダーウェアを着る、チクチクする服を着ないなどをして対策してください。
また、服に縫い付けられている「品質タグ」もお肌を刺激する原因に。縫い糸を切って、取り外してしまいましょう。
病気が原因でかゆくなることもある?

保湿などのかゆみ対策を行っても、長期間かゆみがおさまらない場合、糖尿病や腎臓病などの病気が原因の可能性もあります。症状がひどいときや、長期間改善が見られない場合は、皮膚科で診察を受けるようにしてくださいね。