寝汗とはその名の通り、「寝ているときにかく汗」のことです。通常、寝ている間にコップ1杯~2杯程度の汗をかくと言われています。
本来「寝汗」とは、上がってしまった体温を下げるためにかくものです。部屋が暑い、ふとんの中の湿度が高すぎるなどの理由で体温が下がりにくいときに、たくさん汗をかいて体温を下げようとします。
しかし、更年期障害による寝汗はコップ1杯どころではなく、髪の毛や服がベチャベチャになるほどかいたり、あまりに汗をかくので夜中に何度も目が覚めてしまうことがあります。
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更年期障害で寝汗をかく原因


エストロゲンの減少により体温調節がしにくくなる

更年期に入ると、卵巣機能の低下により、エストロゲン(女性ホルモン)の分泌量が急激に低下します。
本来、脳にある視床下部(ししょうかぶ)という中枢が、卵巣にむけて「エストロゲンを作ってください!」と指示を出すのですが、加齢と共に卵巣機能が低下すると、卵巣はエストロゲンを作りだせなくなります。
しかし、視床下部はエストロゲンが減っていることに気づかず、卵巣に「エストロゲンを作ってください!」と何度も指示を出します。しかし、何度指令を出してもエストロゲンは分泌されず、視床下部は混乱してしまいます。
視床下部は、内分泌をコントロールするだけでなく、体温、血圧、自律神経、情動(嬉しい・悲しい)をも司っています。
エストロゲンが欠乏し視床下部が混乱すると、視床下部が管理をしていた「体温」や「自律神経」も乱れてしまうのです。
プロゲステロンの増加により体温が上がる
(引用:日経ウーマンオンライン)
プロゲステロンとは、排卵が終わった直後から卵巣で作られる女性ホルモン(黄体ホルモン)のことです。主に受精卵が着床しやすいように、体や子宮の環境を整えてくれる働きがあります。
プロゲステロンがもつ「環境を整える働き」の一つに、基礎体温の上昇があります。妊娠したい女性にとって基礎体温が上がることは重要なことなのですが、妊娠を考えていないものの閉経していない女性にとっては「ただ体温が上がる期間」になってしまうのです。
基礎体温が上がると、同時に汗もかきやすくなります。
もしも「ある一定の時期だけ寝汗をかきやすくなる」場合は、プロゲステロンによる体温の上昇が原因の可能性も考えられます。
寝汗だけでなく悪寒もする原因


悪寒とは、体がゾクゾクする・寒気を感じることです。主に風邪による発熱や、インフルエンザ、肺炎の初期症状としてあらわれることがあります。
更年期障害による悪寒は、主にホットフラッシュ(急激に大量の汗が出る)やほてりの反動として起こることが多くあります。
ホットフラッシュがおきると、上半身の体温が急激に上昇します。体は体温を下げるために、汗をかきます。この汗が渇くときの「気化熱」(汗などの液体が、熱をもったまま気体に蒸発すること)により、体の熱はどんどん下がります。
このように、ホットフラッシュや上半身のほてりで体温が急激に上がったあとに、悪寒は起きやすいのです。
ホットフラッシュについては、「更年期障害による汗・ホットフラッシュの原因と対処法まとめ」も参考にしてください。
男性も更年期障害で寝汗をかきやすくなる?


「更年期障害は女性だけのもの」と考えられがちですが、男性も更年期障害になることがわかっています。
加齢と共にテストステロン(男性ホルモン)が減少することで、汗をかきやすくなる、自律神経が乱れる、元気・体力がなくなる、精神的に不安定になることがあります。
男性の更年期障害については、「男性更年期障害の原因、症状、治療方法とは【チェックリスト有り】」を参考にしてください。
更年期障害による寝汗の改善方法:薬・サプリ


あなたの症状の程度に合わせて、どのように改善していくかを選んでくださいね。
ホルモン治療
ホットフラッシュ(大量に汗をかく)、ほてりなどの更年期障害がひどく生活に支障をきたす場合は、婦人科でのホルモン治療が有効です。
ホルモン治療とは、更年期に欠乏するエストロゲンを外から補充する治療方法のこと。特にホットフラッシュに効果的であるとされています。
ホルモン治療については、「「更年期障害の対策法11選!お薬・食事(食べ物)・生活習慣で症状を改善」を参考にしてください。
漢方薬
「ホルモン治療よりも手軽に寝汗を改善したい!」というあなたには、漢方薬もおすすめです。病院で処方してもらうことで、自分の体質や症状にあった漢方薬を服用することができます。
漢方薬については、「更年期障害の症状を改善する漢方薬まとめ!メリット・副作用など」を参考にしてください。
サプリメント
「ホットフラッシュや寝汗を改善したいけど、病院に行くほどではない」というあなたには、サプリメントがおすすめです。自律神経を整える効果が期待できる「サポニン」配合のサプリメントをとることで、寝汗を改善することができます。
更年期障害による寝汗の改善方法:生活習慣

適度な運動をする
ウォーキングやジョギングなどの適度な運動やストレッチは、副交感神経を優位にし、気持ちを落ち着けることができます。ストレスを感じてイライラしたり、気分が落ち込むと、交感神経が高ぶり汗も出やすくなってしまいます。
しかし、運動しすぎは逆効果になってしまうので、気を付けてくださいね。
就寝前にリラックスする
就寝前に、「好きな音楽を聴く」「アロマオイルの香りを楽しむ」などをして、リラックスしましょう。リラックスすることで副交感神経が優位になり、汗が出にくい状態になります。
タオル・ベッドパッドで寝汗対策をする
「寝汗をかいたらどうしよう・・・」「寝汗をかきたくない、つらい・・・」と思い悩んでいる場合は、汗をかいてもいいようにタオルやベッドパッドなどを用意し、「汗をかいてもいいや!」と一度吹っ切ってみてください。
というのも、「寝汗をかきたくない、つらい」と考えれば考えるほど交感神経が刺激され、さらに寝汗をかきやすくなってしまいます。
寝汗をかいて目が覚めたり、服がベチャベチャになってしまうのは確かにつらいことです。ですが、「こういうときもあるか」と考えすぎないようにしてみてください。
気持ちを切り替えるだけでも、「少し楽になったかも!」という方もいらっしゃるんですよ。
カフェイン、アルコールを控える
カフェインやアルコールには交感神経を刺激し優位にする作用があるため、寝汗をかきやすくなります。寝る前にカフェイン飲料やアルコールを飲むのは控えましょう。