



更年期以降になりやすい病気ですので、更年期には対策を始めることが大切です。
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骨粗しょう症とは
WHO(世界保健機関)において、骨粗しょう症とは「低骨量と骨組織の微細構造の異常を特徴とし、骨の脆弱性(ぜいじゃくせい)が増大し、骨折の危険性が増大する疾患である」としています。
少し難しいので簡単に説明しますと、低骨量(=骨に含まれるカルシウムの量が減る)、骨組織の微細構造の異常(=骨の密度が低くなる)ことが見られ、骨がもろい状態になり、骨折しやすくなってしまう病気、ということになります。
「骨粗しょう症とは、骨折することを指す」と思っている人も多いのですが、骨折ではなく、骨折しやすくなることが骨粗しょう症だということを知っておいてくださいね。
(引用:予防と治療ガイドライン2015)
40歳以上の骨粗しょう症(腰椎)の有病率を見てみると、男性は3.4%(約80万人)、女性は19.2%(約560万人)。骨粗しょう症(大腿骨頸部)の40歳以上の男性の有病率は12.4%(260万人)、40歳以上の女性は26.5%(810万人)であると報告されています。
日本全国民における骨粗しょう症の総患者数は約1,300万人も存在しているということになります。このデータは2009年に報告されたものなので、2017年時点での患者数はさらに増えているとも言われています。
女性がなりやすい
「骨粗しょう症有病率」のグラフを見ていただいても分かる通り、男性よりも女性の方が骨粗しょう症にかかっている人が多いですよね。これは、男性よりも女性の方が体が小さく、もともと骨の量が少ないためです。また、体重が軽ければ軽いほど骨粗しょう症になりやすいとも指摘されています。
骨粗しょう症の原因


①加齢
②女性ホルモンの欠乏
③食生活・生活習慣
があげられます。
加齢
なかなか想像しづらいかもしれませんが、毎日のように「古い骨」と「新しい骨」が入れ替わっています。
若いうちは古い骨を壊すスピードが遅く、新しい骨を作り出すスピードが速かったため、骨を補うことができます。しかし、加齢と共に新しい骨を作り出すスピードが遅くなり、古い骨を完全に補いきれなくなり、骨量が減少してしまうのです。
エストロゲン(女性ホルモン)の欠乏
男性よりも女性の方が骨粗しょう症になりやすい原因として、エストロゲン(女性ホルモン)の欠乏があります。更年期をむかえ閉経すると、卵巣で女性ホルモンは一切分泌されなくなります。
エストロゲンには、新しい骨を促進し、古い骨が壊されるのをおさえる働きを持っています。つまり、閉経をしてエストロゲンが分泌されなくなると、古い骨が壊される力は強くなり、新しい骨が作られる力は弱まってしまうのです。そのため、更年期以降の女性は急激に骨量が低下し、骨粗しょう症にかかりやすくなります。
食生活・生活習慣の乱れ
強い骨を作る働きのあるカルシウムや、カルシウムの吸収力を高めるビタミンDが不足すると、骨粗しょう症にかかりやすくなります。無理なダイエットをしている人が骨粗しょう症予備軍になりやすいのは、骨を作り変えるために必要な栄養素をしっかりと摂取できていないからです。
「シリーズ・骨の話 骨粗鬆症(宮腰尚久著)」によると、喫煙はエストロゲンの働きを抑制するため、骨粗しょう症や骨折のリスクが高くなるとのこと。喫煙者は非喫煙者に比べて約1.26倍骨折のリスクが高まる指摘しています。
さらに、過度な飲酒も骨に悪影響をおよぼします。「酒は百薬の長」ともいわれるように、少量の飲酒については問題ありません。しかし、飲酒量が増えれば増えるほど骨折のリスクが上がることが分かっています。
骨粗鬆症の予防法:薬(ホルモン補充治療)
さまざまな研究によて、更年期障害の治療に使われる「ホルモン補充治療(HRT)」で骨粗しょう症を予防できることが分かってきています。
ホルモン補充治療とは、閉経と共に分泌されなくエストロゲン(女性ホルモン)を外から補うことで、更年期症状をやわらげるための治療法です。主にホットフラッシュ、めまい、頭痛、疲れやすさなどの症状を改善するために治療を受ける方が多いようです。
しかし、長期的に治療を受けるとがんを発症するリスクが高くなるという報告(※)もあり、日本においてホルモン補充治療はあまり普及していません。
ホルモン補充治療についての詳細は、「更年期障害の症状を改善する市販薬・処方薬とは?効果や副作用は?」を参考にしてください。
骨粗鬆症の予防法:生活習慣改善
ウォーキングなどの軽い運動をする
適度な運動は、骨に刺激を与え、骨の力を強くすることが分かっています。また、紫外線を浴びることで、骨に必要なビタミンDを作り出すこともできます。
「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版)によると、歩行、太極拳などの軽い運動は腰椎の骨の密度を高め、ジョギング、ダンス、ジャンプなど比較的負荷が強い運動は、大腿骨まわりの骨の密度高めることが分かっています。
喫煙・飲酒をひかえる
「骨粗しょう症の原因」でも説明しました通り、喫煙と過度な飲酒は骨折のリスクを高めてしまいます。骨折を防ぐためにも、たばこは吸わないようにして、飲酒量にも気を付けるようにしましょう。
骨粗鬆症の予防法:食生活改善
イソフラボンを摂る
女性はイソフラボンを意識して摂取するようにしましょう。食品安全委員会によると、イソフラボンはエストロゲン(女性ホルモン)と同じ働きをすることが報告されています。
カルシウムを摂る
カルシウムの99%は骨の中に言われているほど、強い骨を作るためには欠かせない栄養素です。「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版」によると、骨粗しょう症を予防するためには、1日あたり600mg~800mgの摂取が推奨されています。
厚生労働省においてもカルシウムの摂取推奨量を公表しているのですが、それよりもやや多い値になっていることが分かります。理由として、日本人やアジア人は欧米人に比べてカルシウム摂取量が圧倒的に少なく、おおよそ半分にも満たないことが分かっています。この摂取するカルシウム量の少なさが骨粗しょう症のに繋がっていることから、多めの摂取が推奨されているのです。
ビタミンKを摂る
ビタミンKは、骨の形成をうながす働きを持っていることから、骨折予防ビタミンとも呼ばれています。1日の推奨摂取量は250~300μg(マイクログラム)とされています。
ビタミンDを摂る
ビタミンDは、腸からのカルシウムの吸収を助ける働きがあります。ビタミンDは食事から取ったり紫外線を浴びることで作られるのですが、高齢になると摂取量が減ってしまいます。
1日の推奨摂取量は10~20μg(マイクログラム)とされています。
塩分を控える
塩分は「まったく摂ってはいけない」訳ではありませんが、塩分をたくさん摂取すると、骨にとって大切なカルシウムも一緒に体の外へ流れていってしまいます。
厚生労働省によると、1日の塩分摂取上限量は約6g~8gとしていますが、日本人の平均摂取量は約11mgを超えているとのこと。
リンを控える
リンは、多く摂り過ぎるとカルシウムの吸収を邪魔をしてしまいます。リンは主に加工食品、インスタント食品、清涼飲料水などに含まれています。
自分の骨量を確認する方法
チェック表
自分の骨の状態が良好であるか、チェック表で確認することができます。以下、当てはまるものの点数を足してください。
牛乳、乳製品をあまりとらない | |
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小魚、豆腐をあまりとらない | |
たばこをよく吸う | |
お酒はよく飲む方だ | |
天気のいい日でも、あまり外に出ない | |
体を動かすことが少ない | |
最近、背が縮んだ気がする | |
最近、背中が丸くなり、腰が曲がってきた気がする | |
ちょっとしたことで骨折した | |
体格はどちらかと言えば細身だ | |
家族に「骨粗しょう症」と診断された人がいる | |
糖尿病や消化管の手術を受けたことがある | |
(女性)閉経を迎えた (男性)70歳以上である |
2点以下 | |
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3点以上 | |
6点以上 | |
10点以上 |
(引用:公益財団法人 骨粗鬆症財団)
病院で検査


「骨粗しょう症検診」は各地の自治体で行われています。主に40歳から検診を受けられることが多くあります。骨粗しょう症の発症人数はかなり多いのにも関わらず、骨粗しょう症検診を受けている人はとても少ないのが現状です。