

長時間正座していたり、同じ姿勢をとっていると手足がしびれることがありますよね。ですが、更年期には特に同じ姿勢をとっていないのに体にしびれを感じることがあります。「何か重い病気にかかっているんじゃないか?」「病気の初期症状なんじゃないか?」と心配になっている方もいらっしゃると思います。
この記事では、
・更年期障害で手足がしびれる原因
・更年期障害で手足がしびれるのを予防する方法
についてご紹介しています。
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更年期障害で手足がしびれる原因


①血行不良
②お肌の乾燥があげられます。
血行不良
手足などの末梢部分にある血管の流れが悪くなると、末梢神経がギュッと圧迫されてしまうために、ピリピリとしたしびれや痛みを感じることがあります。
私たち女性は、更年期に入るとどうしても血行不良になってしまいます。血行不良になる原因は、「加齢による毛細血管の減少」「血行の老化を防いでくれていたエストロゲン(女性ホルモン)の減少」があげられます。
私たちは、8歳~9歳頃から卵巣でエストロゲンを分泌しだします。ですが、更年期(主に40歳~)に入ると卵巣機能が低下しだし、十分にエストロゲンを分泌できなくなってしまいます。
「エストロゲンと女性のヘルスケア(武谷雄二著)」によると、エストロゲンは血管の老化を防いだり、血管を拡張して血流を良くする働きをすることが分かっています。
更年期に入り、血流を良くしてくれていたエストロゲンが減少してしまうことで、手足にしびれがおきやすくなっているのです。
更年期障害でしびれを感じる方の多くは「ちょっとしびれが気になるな」程度のものが多いのですが、中には「しびれや痛みが気になって日常生活をまともに送れそうにない」というレベルにまで症状が重くなっている場合があります。
あまりに長期間しびれが続いていたり、しびれや痛みが激しい場合は、ペインクリニックなどへの受診をおすすめしています。
自律神経の乱れ
自律神経が乱れると、知覚に異常をおこし、手足にしびれを感じやすくなることが分かっています。
更年期は、どうしてもストレスがかかりやすいものです。更年期は、家庭、家計、子育て、仕事、両親の介護など、解決にしくい問題や悩みを抱えやすい時期です。あなたにも、何か悩みやストレスに感じていることはありませんか?
ストレスを感じたり不安を感じることが多いと、どうしても自律神経が乱れやすくなります。
また、「私にはストレスや悩みはそんなにないわ」という人でも、更年期には自律神経が乱れやすくなる理由があります。それは、エストロゲン(女性ホルモン)の減少です。
今までは十分に分泌できていたエストロゲンが作られなくなると、脳は「何でエストロゲンが作られなくなったんだ!?」と混乱してしまいます。脳はホルモンの分泌だけでなく、自律神経の調節もしているため、脳が混乱すると自律神経にも影響してしまうのです。
つまり、更年期は何もしていなくても自律神経が乱れやすくなり、手足にしびれを感じやすくなる時期なのです。
お肌の乾燥
あまり知られていませんが、お肌の乾燥も、手足にしびれを感じる原因の一つです。(参考:キッコーマンニュートリケア・ジャパン株式会社)
加齢と共にお肌のハリ・潤いがなくなると、皮膚が薄くなり、神経が刺激されやすくなります(知覚過敏、知覚異常とも呼ばれています)。そうなると、少しの刺激でもピリピリ・チリチリとした感覚があったり、何もしていないのに体にアリが這うような感覚(蟻走感・ぎそうかん)がおきるようになります。
残念なことですが、加齢と共に、私たちのお肌のハリや潤いは失われてしまいます。
加齢によってお肌が老化してしまう原因は、「お肌のセラミド・コラーゲン・ヒアルロン酸の減少」「エストロゲン(女性ホルモン)」の減少」があげられます。

私たちのお肌には、生まれた時から「セラミド」という成分があります。セラミドは、お肌の表皮(一番上の層)に存在し、水分を抱え込んで潤いのあるお肌を作っています。ヒアルロン酸もセラミドと同じく、大量の水分を抱え込み、お肌に潤いを与えています。
しかし、お肌に潤いやハリを与えてくれていたセラミド・ヒアルロン酸・コラーゲンは、歳を取るにつれて自然に失われていきます。また、エストロゲンもヒアルロン酸自体を保持する働きがあるため、更年期に入りエストロゲンがなくなると、急激にヒアルロン酸は失われてしまいます。
こうなることで、手足にしびれを感じやすくなってしまうのです。
他の症状も出ている場合は要注意!

体のしびれと同時に何らかの症状がでることを随伴症状(ずいはんしょうじょう)と言います。随伴症状が出ている場合、大きな病気が隠れている可能性もあるので、気を付けるようにしましょう。
特に、
・手足が動きにくい
・ろれつが回らない
・頭痛や吐き気も同時におきる
・半身全体がしびれ、同時に激しい頭痛がする
という場合、脳卒中や脳の病気を発症している可能性があります。しびれだけでなく自分の体に異常を感じたら、すぐに医療機関を受診するようにしてください。
明らかに体に異常があるけれど救急車を呼ぶか迷う場合は、「#7199」に電話をかけることで相談をすることができます。(※地域によって相談できる場所とできない場所があります。現在は、東京都、大阪府などの合計7自治体に留まっているようです)
更年期障害で手足がしびれるのを解消する方法


更年期の手足のしびれは、主に血行不良、自律神経の乱れ、お肌の乾燥が原因です。ですので、体を冷やさず、ストレスを溜めすぎず、今まで頑張ってきてくれた体を労わってあげることが大切です。
マッサージ
血行を改善するにはマッサージがおすすめです。
「マッサージで血行改善なんて本当にできるの?」と疑問に思われている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、「冷え高齢者に対するふっとマッサージの冷え症状の緩和効果(棚碕ら)」という論文において、「冷えを感じている末梢部の血流を促進し皮膚温を上昇させ、温かさをもたらすことが明らかとなった」と報告されています。このことから、マッサージには血行改善効果が期待できると考えていいでしょう。
マッサージは、しびれを感じている部分に行ってください。しびれを感じているときに行うと痛みを感じる可能性があるので、しびれを感じていないときに行うようにしてくださいね。
手や足を優しくもむように、マッサージを行ってください。
体を温める
お風呂に入り体を温めることは、誰でも自宅で簡単にできるしびれ対策の一つです。更年期はのぼせやすく、シャワーだけで済ませたり、湯船につかる時間が短くなりやすいものです。
ですが、しびれが気になるときには、一度ゆっくり湯船に浸かってみてください。お風呂の温度は38℃前後で「ちょっとぬるいかな」と感じる程度で大丈夫です。体に負担をかけないぬるめの温度で、約20分ほど温まりましょう。
体が芯から温まることで、手足のしびれがやわらぐ人も多くいらっしゃいます。
ビタミンEを摂る
アーモンドやサーモンなどに多く含まれているビタミンEは、血管を拡げて、血行を促進する働きがあります。手足のしびれが気になるときは、積極的に摂るようにしてみてください。
ビタミンEが多く含まれている食べ物は、以下の通りです。
あんこうのきも | |
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すじこ | |
いくら | |
アーモンド |
手足のしびれ改善におすすめの漢方

黄耆桂枝五物湯(おうぎけいしごもつとう) | |
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冠元顆粒(かんげんかりゅう) | |
婦宝当帰膠(ふほうとうきこう) | |
星火牛黄清心丸(せいかごおうせいしんがん) |
片手、片足だけしびれを感じる場合は?


片手、特に手の親指の広い範囲にかけてしびれを感じる場合、手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん)の可能性があります。
手根管症候群とは、パソコンやスマホなどで手を使いすぎたり、家事やスポーツなどで手を使いすぎると、手首にある手根管(しゅこんかん)という管のなかにある正中神経(せいちゅうしんけい)が刺激を受け、しびれを感じる病気のことです。
特に、人差し指と中指にしびれがでやすく、朝方や夜中にしびれやすいのが特徴です。夜中に片手のしびれで目が覚める場合、手根管症候群の可能性が高いと言えます。
※その他、更年期障害以外でしびれを感じる原因については、別の記事でご紹介させていただきます。